今回は、AI検索時代の「見えない検索行動」に関する調査レポートを取り上げます。
マーケティング支援を手がけるItera(イテラ)が、30ジャンルを横断して検索ユーザーの行動を可視化したところ、「検索順位で1位を取っていても、実際のクリック率は推定で半減している」という結果が出たそうです。
元記事はこちらです。
AI検索時代の「見えない検索行動」をデータで可視化。
Itera、30ジャンル横断の調査(ニコニコニュース)
「1位なのにアクセスが増えない」は、あなたのサイトのせいではないかもしれません

この調査で注目したいのは、「順位は落ちていないのに、クリックが減っている」という点です。
これまでのSEO(検索エンジン最適化)の世界では、「検索結果で上位を取れば、その分だけアクセスが増える」というのが暗黙の前提でした。
ところが今、その前提が静かに崩れ始めています。
理由はシンプルです。
GoogleやBing、そしてChatGPTのような生成AIが、検索結果の一番上に「AIによる回答(AI Overviews/AIによる概要)」を表示するようになったからです。
ユーザーは、その要約を読んだだけで疑問が解決してしまい、下にあるサイトのリンクをわざわざクリックしなくなった。
これが「見えない検索行動」の正体です。
つまり、検索はされている、あなたのページも見られている、でもサイトには来ない。
この状態が増えているわけですね。
士業の集客で、これが特に効いてくる理由
「クリックが半減する」という話は、実はどの業種でも同じように起きるわけではありません。
AIが要約しやすい情報ほど、クリックされずに終わりやすい。
ここが士業の先生にとって重要なポイントです。
たとえば「相続 手続き 期限」「離婚 慰謝料 相場」「補助金 申請 流れ」といった、いわゆる「一般的な知識を問う検索」は、AIが数行できれいにまとめてしまいます。
こうした基礎解説の記事は、これまで集客の入り口になっていましたが、今後はアクセスが目減りしていく可能性が高い、と私は見ています。
実際、ある税理士事務所のブログで「インボイス制度とは」という記事が長年アクセスを集めていたのですが、AI概要が出るようになってから表示回数はほぼ横ばいなのに、クリックだけが下がっていく、という現象が起きていました。
順位を下げたわけでも、記事が悪くなったわけでもありません。
ユーザーがGoogleの画面上で「答えを受け取り切ってしまう」ようになった、それだけのことなんです。
では、これからの士業サイトは何をすればいいのか

ここからが本題です。
私がクライアントにお伝えしているのは、大きく3つの方向転換です。
1つ目は、「答えられて終わる記事」から「相談したくなる記事」へ。
AIが要約できるのは、あくまで一般論です。
逆に言えば、「あなた自身の事務所でしか語れないこと」はAIには要約できません。
実際に扱った事例(もちろん個人情報に配慮したうえで)、地域特有の事情、判断が分かれるグレーゾーンの見立て。
こうした一次情報こそが、これからのサイトの価値になります。
2つ目は、LLMO(大規模言語モデル最適化)という新しい視点を持つこと。
これは、ChatGPTやGeminiのようなAIに「この分野なら、この事務所」と引用・紹介してもらうための対策です。
難しく聞こえますが、やることの土台はシンプルで、「誰が書いたのか」「どんな実績があるのか」を明確にすること。
プロフィール、保有資格、監修者情報、事例の数字。
AIは、信頼できる情報源を優先して引用しようとします。
逆に言うと、書き手の顔が見えないサイトは、これからますます選ばれにくくなります。
3つ目は、指名検索と口コミの導線を太くすること。
検索でたまたま見つけてもらう入り口が細るなら、「〇〇事務所」と名前で探してもらえる関係づくりの比重を上げる。
セミナー、既存クライアントからの紹介、SNSでの発信。
地味ですが、AIの表示ロジックがどう変わっても揺らがない資産は、結局こういう「人とのつながり」なんですよね。
まとめ:順位を追う時代から、「選ばれる理由」を積む時代へ
今回のIteraの調査は、「順位=アクセス」という長年の常識が変わりつつあることを、数字で示してくれた点で価値があると思います。
ただ、これは悲観すべき話ばかりではありません。
大量の一般論記事を安く外注できる大手が有利だった時代から、「現場を知る先生本人の言葉」が評価される時代へと、むしろ揺り戻しが起きているとも言えます。
中小の事務所にとっては、規模ではなく専門性と信頼で戦える、悪くない流れです。
まずは自分のサイトで一番アクセスのある記事が「AIに要約されて終わる記事」になっていないか、そこを一度点検してみてください。
そこから、次の一手が見えてくるはずです。
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