今回は、士業や中小企業の集客に最も直結すると感じたニュースを一本選んで解説します。
取り上げるのは「BtoBの発注先探しで、6割の経営者が『AIのおすすめ』を判断材料にしている」という調査報道です。
元記事はこちらです。
BtoB発注先探し、6割の経営者が「AIのおすすめ」を判断材料に AI検索活用実態調査(Yahoo!ニュース)
ニュースの中身:発注先探しの入り口が変わり始めている

この調査が示しているのは、BtoB、つまり企業間の取引で「発注先を探すとき」の経営者の行動変化です。
要点はシンプルで、約6割の経営者が、ChatGPTのような生成AIに聞いて返ってきた「おすすめ」を、発注先を選ぶ際の判断材料の一つにしている、というものです。
ここで言う生成AIとは、質問を打ち込むと文章で答えを返してくれるサービスのことです。
従来であれば「税理士 大阪 相続」のようにGoogleで検索し、出てきた一覧を自分で見比べていました。
ところがいま増えているのは、「相続に強い税理士を探しているのですが、選ぶときのポイントと、どんな事務所が候補になりますか」とAIに相談する、という探し方です。
AIは一覧を並べる代わりに、要点を整理し、時に具体的な候補や名前まで挙げて答えます。
士業のサービスは、まさにこのBtoB発注に近い性質を持っています。
顧問税理士、就業規則を頼む社労士、契約書を見てもらう弁護士、許認可を任せる行政書士——いずれも経営者が「どこに頼むか」を吟味して決める発注行為です。
だからこの調査は、他人事ではないのです。
これが士業・中小企業の集客に何を意味するか
私が普段クライアントの士業サイトを見ていて痛感するのは、「検索順位は追っているのに、AIに聞かれたときにどう扱われるかは誰も見ていない」という状態が非常に多いことです。
ここで起きている変化は、集客の「入り口が一段手前に移った」ということだと私は捉えています。
これまでは、検索結果に表示されて、クリックされて、サイトを読んでもらって、はじめて比較の土俵に乗りました。
ところがAIに相談する経営者にとっては、AIが答えを組み立てる段階で「候補に入っているか/いないか」が先に決まってしまう。
土俵に上がる前の、名簿づくりの段階で勝負がついているようなイメージです。
AIの回答に一度も名前が挙がらない事務所は、その経営者の検討リストに最初から載らない、ということでもあります。
では、明日から何をすればいいのか

難しく構える必要はありません。
順番に整理します。
- まず現状を知る。ChatGPTなどに「◯◯市で相続に強い税理士は」「△△に詳しい社労士を探しています」と、見込み客になったつもりで聞いてみてください。自分の事務所が挙がるか、挙がるとしてどう説明されているかを確認します。ここが出発点です。
- 一次情報を自分の言葉で書く。AIは、あちこちに書かれている内容よりも、出所がはっきりした具体的な情報を拾いやすい傾向があります。料金の考え方、対応できる業種、実際に扱った案件の類型(守秘義務に配慮した範囲で)など、その事務所にしか書けない事実を記事にすることが効きます。
- 「誰が書いたか」を明示する。専門家である先生本人の氏名、資格、経歴、監修者を明記することです。AIも人間も、責任の所在がはっきりした情報を信頼します。士業はこの点でもともと強い立場にあるのに、匿名の一般論しか載っていないサイトが本当に多い。もったいないです。
- 「よくある質問」を素直に置く。経営者がAIに投げる質問は、そのまま見出しになります。「顧問料の相場は」「初回相談は無料か」といった問いに、正面から答える形の文章を用意しておくと、AIに引用されやすくなります。
ここで挙げたことは、目新しい裏技ではありません。
「自分の専門と実績を、出所を明らかにして、素直に書く」という基本です。
ただ、その基本を丁寧にやっている事務所が、AI時代にそのまま評価されやすくなった、というのが今回のニュースから私が受け取ったメッセージです。
従来のSEOは無駄になるのか
「では今までの検索対策は捨てるのか」とよく聞かれますが、そうは考えていません。
AIは学習や回答生成のために、結局のところウェブ上の情報を参照しています。
検索エンジンにきちんと評価されるサイトづくり——読み込みやすい構造、正確な情報、更新の継続——は、AIに拾われるための土台でもあります。
土台は共通で、その上に「AIに引用される書き方」が一枚乗る、という理解が実態に近いと思います。
一つだけ注意点を添えます。
AIの回答はまだ不安定で、事実と違う紹介をされることもあります。
過度に一喜一憂せず、まずは月に一度、自分の事務所名や得意分野をAIに聞いてみる習慣をつける。
その定点観測から始めるのが、地に足のついた一歩だと考えています。
まとめ
今回の調査は、「経営者が発注先を探す入り口に、AIという新しい経路が加わった」という現実を数字で示してくれました。
士業のサービスはBtoB発注そのものですから、この変化の影響を最も受ける業種の一つです。
やるべきことは奇をてらったものではなく、専門家としての情報を、出所を明らかにして、読み手の疑問に素直に答える形で発信すること。
それが検索エンジンにもAIにも伝わり、結果として「AIに聞いたら名前が出てきた」という新しい問い合わせにつながっていきます。
まずはご自身の事務所名を一度AIに尋ねてみてください。
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